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たとえ俺がお前に必要とされなくなる日が来ても。
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「旦那と俺様が出会ったのは今から十年前。」
その頃、旦那も俺様も若かった。
旦那はまだ七歳だったし、俺様も・・・。
ま、俺様の話はいいんだけどさ。
俺、孤児(みなしご)だったんだよね。
両親がいなくて、親戚中盥回し(たらいまわし)にされてた。
で、親戚からも疎まれてた(うとまれてた)俺が、雨の中さながら捨て犬みたいにさ、汚い格好で膝抱えてるところに旦那と出会ったの。
『そんなところでなにをしておるのだ。』
初めて見たときは「なんだこいつ」っておもってさ。
俺みたいなやつに手を差し伸べるなんて馬鹿でしょ?
でも、雨の中太陽みたいに笑って手を差し伸べる旦那を見てたら、もうどうにでもなれ・・・みたいな感じになってさ。
その小さな手に俺は助けられた。
汚い捨て犬を拾ってきた旦那は、必死に両親に事情を説明してた。
俺は、ぼうっと立っててさ、また追い出されるんだろうな・・・みたいなこと考えてた。
でも、旦那は本当に必死で・・・頭下げてお願いしてた。
この者には温もりが必要なんだって、そう言って、ずっと、ずっと。
それで、気が付いたら、俺は旦那と一緒に居た。
旦那の両親も、はじめは俺のことを警戒してるみたいに遠巻きに見てる感じだったけど、直ぐに俺を家族だと言ってくれ始めた。
嬉しかったよ、凄く。
これが温もりなんだって、そう思えたのは初めてだったから。
でも、旦那の両親は、事故に遭って死んでしまった。
その時、旦那と俺は留守番してたんだけど、話を聞いた時の旦那の取り乱しかたったら・・・凄惨な光景だった。
元気がなくなった旦那は痛ましくて、でも、俺様の前では平気な顔してた。
それが何よりも痛ましくって・・・。
俺じゃ旦那を救うことなんてできないんだって思ったら、旦那は俺様のこと助けてくれたのに、俺は・・・?って。
無理して笑う旦那を思わず抱きしめたら、旦那大泣きしたんだ。
初めて旦那の弱いところが見えた気がして・・・なんか嬉しかったんだ。
それから、旦那と俺様は旦那の両親の恩師である『お館様』と一緒に暮らし始めた。
二人で同居し始めたのは、高校に上がる頃。
旦那が高校生になるのを見計らってね。
俺は旦那より年上だったけど、先生に頼み込んで同学年ってことにして貰った。
事情が事情だしね、色々あるじゃん、下校時間とかさ色々。
それで同級生ってことになってるの、俺様。
「ごめんねー、旦那のこと俺様奪っちゃうかもね。」
俺様が旦那にとって保護者っていう立ち位置な今のうちに、早く奪ってくれたらいいのに。
俺様じゃ、旦那を笑顔にはできないから。
旦那の幸せを願っていられる今のうちに・・・。
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