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たとえ俺がお前に必要とされなくなる日が来ても。
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「ねーえ、旦那ぁ。この花、何処に置こうか。」
―――――
「旦那・・・?ッ!?旦那!?」
「あ・・・うぁ・・・」
「大丈夫!?旦那!?」
<***>
「大丈夫ですよ。真田さんの容体も落ち着いてきましたから。」
「・・・旦那。」
遂に、この時が来てしまった。
「・・・頭痛が、始まりました。」
「・・・クソッ!」
佐助が拳を己の腿に打ち付ける。
いつか来ると言われていて、多少は覚悟もしていたけど。
本当にいきなりだった。
今から本格的な侵食が始まるのだ。
「以前お話しした通り、真田さんの記憶はこの偏頭痛・・・一次性頭痛を機に速度を上げて侵食されてゆきます。」
「・・・。」
がっくりと項垂れた(うなだれた)まま、佐助は医師の話を聞いた。
「この頭痛は、偏頭痛(頭の片側に生じる、発作性の脈打つような激しい頭痛。片頭痛)と言うのですが、次第に、痛みも頻度も増してゆきます。嘔吐や高熱を伴うこともあります。」
「・・・。」
「真田さんにとって、これからが苦しい戦いになると思われます。」
「・・・。」
嫌だ、聞きたくない。
耳を塞ぎたい。
手が震える。
旦那・・・。
俺は旦那を痛みから救ってやることもできないのか・・・?
ガラッ!!!
「猿飛!幸村は・・・!」
「・・・遅かったね、竜の旦那。」
「・・・お前・・・。」
項垂れていた体勢のまま、佐助が政宗を見て哂う(わらう)。
その眼に光は無く、ただただ絶望に打ちひしがれた虚ろな瞳がこっちを見ていた。
<***>
「それで・・・、真田さんも、何時訪れるか分からない頭痛に恐怖を抱き始めると思います。」
政宗に、手短に佐助にしたような話をしてから、医師は口を開いた。
「ですので、出来る限りどなたかがお傍についておいて差し上げることをお勧めします。」
「・・・。」
黙ったままの佐助の代わりに政宗が返事をする。
部屋には重い空気が漂っていた。
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