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たとえ俺がお前に必要とされなくなる日が来ても。
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二、三週に一度くらいの割合だった頭痛は、段々と頻度を増していった。
最近、あまり眠れなくなってしまった幸村は、痩せて顔色も悪くなっていった。
「えらく、患者衣が似合うようになってしまったな。」
僅かな自嘲を含んで、幸村が自らを皮肉った。
「まあ、確かに。あの真田幸村だとは思えないね。」
佐助が冗談交じりに言う。
が、幸村はまた自嘲気味な笑みを見せるだけだった。
<***>
「ウッ・・・!」
夜。
頭痛が始まってから、佐助と政宗は交代で病院に泊まっている。
「・・・幸村?・・・!?幸村!?」
政宗が目を覚まして幸村のほうを見るとそこには青い顔をした幸村が必死に口元を抑えていた。
「大丈夫か!?」
政宗が念のために置かれてあった洗面器を手に幸村に駆け寄る。
それを毟り(むしり)取るように、幸村は洗面器を取ると口元に持っていった。
「がはッ!!・・・う、ゴホッ!!」
「幸村!」
政宗は軽い混乱状態に陥りながらも必死に、嘔吐する幸村の背を擦る(さする)。
・・・暫くして、落ち着いてきた幸村は洗面台に口を濯ぎ(ゆすぎ)に行った。
その背中を見届けてから、政宗は携帯を取り出して電話をかけた。
「お見苦しいところをお見せいたしましたな。」
「何言ってんだよ。」
洗面台から戻ってきた幸村が申し訳なさそうに謝る。
「気持ち、悪うござろう。無理なさらなくてもよろしいのでござるよ。そのお気持ちだけで十分・・・。」
痛々しい笑み。
それを振り払うように政宗は言葉を紡いだ。
「・・・猿飛に連絡した。直ぐ来るって。」
「・・・そうでござるか。こんな時間まで起きているとは何事か・・・。」
時計はとっくに日が回っていることを知らせていた。
「とりあえず、安心して寝ろ。」
「・・・そうでござるな・・・。」
嘔吐したことで一層疲れが増したのか、幸村はそのまま眠りについた。
それから、程無くして佐助が部屋に飛び込んできた。
それを横目で見ながら、『静かにしろ』とジェスチャーをおくる。
佐助はまた、静かに泣いていて。
政宗は、幸村を見ながら歯を食いしばった。
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