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たとえ俺がお前に必要とされなくなる日が来ても。
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あの嘔吐をした後も、幸村は度々吐き気を覚え、高熱にうなされるようになった。
食欲も一層失っていき、ガリガリになった幸村はとても痛ましかった。
「じわりじわりと頭の中が食われてゆく。その度に頭が痛くなって気持ち悪くなる。」
幸村がある時そう言った。
医師の話では、記憶は虫食い状に失われていって、すべて失われた時にはその吐き気からも全て解放されるということだった。
だから、随分前のことが分からなくなって、次の日には昨日のことを忘れてしまう、ということも有り得るということだ。
幸村は、自分が記憶の失われる病を患っているということを知らない。
錯乱を防ぐためだ。
だけど、幸村は薄々気が付いているのではないかと思う。
幸村は、明日を嫌うようになった。
「あ・・・某は何をしようとしてたのだったか・・・。」
「・・・旦那・・・。」
ゆっくりと失われていく記憶。
幸村がモノを忘れる回数は量は日増しになっていった。
最近は、ついさっきしようとしていたことも忘れてしまうようになった。
「・・・なあ、佐助。明日、皆を連れてきてくれぬか。」
幸村が、佐助に頼む。
「・・・了解。」
佐助は小さく頷くと
「おやすみ。」
そういって病室を出た。
「・・・あ、竜の旦那?・・・ごめん・・・うん・・・旦那から・・・」
佐助は政宗に電話を掛けながら歩き出した。
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