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飾り (黒家→幸 ちょい病み)
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三成の所に、一人優秀な武将が入ったらしい。
風の噂で聞いた。
今まで、呪いのように儂に執着していた三成が何も言わなくなった辺りで、おかしいことには気付いていた。
どうやら、儂は。
人に注目されたいらしい。
人に何かしらの感情で儂のことだけを考えていてほしいらしい。
その点、三成は儂に対する憎しみで生きているような人間だったから良かった。
儂のそういう歪んだ(ゆがんだ)願望を理想的に叶えていてくれたから。
けれど、それが無くなってしまえば、つまらないことでしかない。
儂の快楽を奪ったソイツを、儂は許せなかった。
「仕方、ないな」
傍らで忠勝がギシィ・・・と唸った(うなった)。
<***>
まず、情報を集めなくては。
今、三成のいる豊臣軍は西方へ勢力を拡げている。
そして、そこに毛利が関わっているという情報を得た。
毛利。
その近くに、情報収集にうってつけの相手が居た。
「やはり持つべきものは友だな!元親」
「おうよ、家康!!」
長曾我部元親。
悪友という絆で結ばれた強者。
毛利とは腐れ縁。
「そうだ、元親!三成の奴が最近新しい武将と絆を結んだらしいじゃないか!!」
「あ"?・・・ああ!!そうなんだよ家康!!」
「・・・知って、いるのか?」
「おうよ、毛利の奴も石田の奴もどうしたことかソイツを気に入ったらしくてなァ。それで、俺も気になってこの前見に行ってみたんだ」
「そうだったのか・・・それで、その武将とは?」
「赤装束を身に纏い(まとい)、二槍を両手に焔(ほむら)の如く猛る兵(つわもの)・・・虎の若子こと」
「・・・真田、か・・・??」
「おいおい、いいところだったのによォ!まあそうだ、その通り!!真田幸村っつーんだ。知ってたのかよ」
「ああ、いや別に・・・」
知って、いる。
武田殿との関わりがある。
知っている。
その人のことを。
幼少のころに、見たことがある。
話しかけられたことがある。
「儂も気になるな。また見に行ってみるとしよう」
「そうかそうか!俺ァ、あまり人のこたァ気にしないが、アイツは別格だぜ。頃合いを見て、俺の弟分にしてやろうと思っている」
「そうなのか。余程なのだな!儂もその時を楽しみにしておこう」
「ああ!じゃあな」
『何故今更』
三河に戻った儂は正直苛立っていた。
儂の地位を脅かすかもしれない。
儂の『絆』をことごとく奪われるような気分だった。
「独眼竜!!少し聞きたいんだが」
「家康?OK、いいぜ」
奥州へ赴き、儂は独眼竜こと伊達政宗と話していた。
「真田、という男を知っているか」
「・・・そいつがどうした」
「いや、特にこれということもないんだが・・・」
「おい」
「・・・なんだ」
「真田に手ェ出してみろ。俺が許さねえ」
「・・・」
「真田を殺るのは俺だ。それは譲らねえ」
「お前をそこまで言わしめす真田はさぞ有能な武将なのだな」
「有能なんてもんじゃねえ・・・あいつは」
化け物だ。
伊達に釘を刺されるほど。
儂はいつの間にか奴に執着していた。
そして、その真田に多くの人間が肩入れをしていることも知った。
魅了されるように、惹かれるように。
魅かれて(ひかれて)。
なんとしてでも、手に入れたくなった。
「・・・もっと早く、絆を築いておくべきだったな」
「ギシィ・・・」
その後、儂は知ることとなる。
知らぬ間にまた大きくなったその者の強さを。
美しさを。
そして、儂の心の奥底で渦巻く、ドス黒い情念を。
「やぁ、真田」
「・・・お初にお目にかかります、でございましょうか?」
お前の全てが欲しい。
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