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大切な友達
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猛ダッシュで教室に戻ってきた楓は、息を切らしながら自分の席に座りぐったりと突っ伏した。数少ない友達のひとりでもある隣席の小林繭が、いつもとは違う楓を見て驚きの声をあげた。
「えっ……ちょっ……ちょっと! 誰……というか楓君だよね?」
「ん? どうしたの、こまゆちゃん」
「えっ! いや……いや、いやっ! あれ……楓君ってそんな見た目だった?」
しまった……。眼鏡をかけ忘れていることに気がつき、すぐに繭から視線を逸す。
「あ……ちょっと眼鏡が壊れちゃって……。ごめんね、変だよね……」
「変じゃない! むしろ、なぜ今まで眼鏡をしていたのかと! 私は問いたい!」
苦笑いをする楓の言葉にかぶせるように、興奮気味に目を輝かせ顔を近づけてきたことに椅子ごと後ずさりしてしまった。
「ひゃあっ! こっ……こまゆちゃん、顔が近いよっ!」
赤面しながら繭の近さから逃れようとすると今度は、楓の後ろからもうひとりの友達でもある成田が覗き込んできた。
「えーっと……どちらさんですか?」
二人の反応に、また小さな頃の記憶が蘇った。きっとこのあと揶揄われて、聞きたくはない言葉を浴びるんだ。そう思うと胸の奥が痛みはじめ悲しさで目を瞑ると、二人は楓が思っていたこととは違う意外な言葉を口にした。
「楓君、可愛い!」
「楓、いいじゃん!」
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