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「それで、成田。今日の勝負はどうする?」
「いつもので!」
勝負と言ってもさすがここは絵画科。ゲームをするわけでも、力を使うわけでもない。お題にそった絵を描いてクラスの仲間に点数をつけてもらい、勝敗を決めるというこの二人がいつもやっている「お絵描きバトル」だ。お題を決め10分以内の完成を目指し描きはじめると、このバトルを毎回楽しみにしている仲間が成田の絵を見て盛り上がりはじめる。今回も繭が優勢かと時間が半分過ぎた頃、二人の周りとは別に教室の入り口に女子が集まっているのが見えた。
「ん……? あの人集りは……」
「こまゆ、よそ見してる場合じゃねーぞ!」
「や……。ちょっと待って……え……あれ? ちょっと待って!」
繭が次の言葉を口にしようとすると、隣にいた子が「あの櫻木君が来た」と叫びながら入り口の方へ走っていってしまった。
「まじか…………。イケメンきたー! 成田、ごめん! 勝負どころじゃなくなった!」
「ちょっ!……こまゆ、てめぇ負けにするぞ!」
きっともう繭の背中に叫んでも、成田の声は届いていない。勝負よりもイケメン。何よりもイケメン。今日の成田はイケメンに負けた。
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