アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*
-
ーーあれ……この真っ黒な瞳。艶があって髪の隙間から綺麗に光っているこの瞳……前も見たことがあるような……。
楓もまた突然のことに目を離せず黙ったままでいると、話しかけてきた輝の声に夢ではなかったのかと我に返った。
「あの……寝てるところを起こしてごめん」
「あっ……や、寝てないです! ただちょっと考えごとをしていただけです」
言い訳に聞こえてしまっただろうか。こんなところを見られたのが恥ずかしくて、顔を熱くしたままベンチに座りなおした。
「佐藤楓君であってるかな? 俺はデジタルデザイン科二年の櫻木輝です。数日前に廊下でぶつかった時のこと覚えているかな?」
「あっ! あの時のっ!」
やっとその瞳をどこで見たのか思い出すことができて勢いよくベンチから立つと、目の前の輝の顔が自分よりもかなり上にあることが分かった。
「あ……背、おっきいですね……」
「え?」
楓の調子はずれな言葉がなんだか面白くて、つい笑ってしまう。
ーーあ……この人、笑うとまた少し感じが違うんだ。
どうしてだろう。不思議とその綺麗な笑顔に胸が熱くなり、これ以上視線を合わせていられない。
「すっ……すみません。変なこと言っちゃって……。あの……この間はぶつかってしまいお礼もちゃんと言わず、本当にすみませんでした!」
「あ、いや……俺の方もごめん。怪我とかなかった?」
「はい、大丈夫です! あ……立ち話も何なのでここどうぞ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 533