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心
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まるで今日がもう終わるのではと感じるほど、あの一緒にいた時間が濃く長く感じた。こんなにも人の目を見て真剣に話したことは、今までなかったかもしれない。のぼせたようなふわふわとした感覚で教室に戻ってきた楓が机に突っ伏すと、すぐさま繭が駆け寄ってきた。
「楓君! 生きてる? 死んでる?」
「こまゆちゃん……僕、なんだか疲れちゃったよ……」
「櫻木君と会った? 私、教えて良かったのかちょっと不安だったんだ」
「それは全然構わないよ。ありがとう。僕が落とした絵を拾って届けてくれたんだ」
「そうだったのね。それにしてもその疲れ様……何かあった?」
「んー……あったと言えばあった……かな。人の目を見て長く話しをするってあんまりなかったから緊張しちゃって……」
「まあ、確かに校内イケメンランキングほぼ一位と言われている、櫻木輝の顔を見ながら話すなんて緊張しないほうがおかしいわよ」
「あー! どこかで聞いたことがある名前だと思っていたら、それだったかー!」
「え……楓君忘れてたの?」
「うん! 思いっきり忘れてた!」
さすが絵のこと以外、全く興味がない男だと繭に呆れた顔をされてしまう。
「でも……離れない…………」
「ん? 何が?」
「あ…………独り言」
--どうしてもあの瞳が。あの声が頭から離れない。手に残っている感触が忘れられない。
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