アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*
-
「前も言ったかもしれないけど、輝は誰にでも優しいんだよ。だから自分のことを好きになってくれて、告白してくる子を基本的には断らない。皆んな平等に付き合うし、無理がない範囲なら求められたらその通りにする。でも相手はそれだけじゃ満足はしないし、どんどん独占したくなる。自分だけに愛情が向いてないと分かった途端、輝の元から去っていく奴も多い。それを分かった上でとりあえず『あの櫻木輝と付き合った』っていう自慢が欲しい奴もいれば、『輝をふってやった』っていう逆のアピールをする奴もいる。俺からすればお互い何やってんだって感じだけどね。何も生まれない、芽生えないことに時間使って何が楽しいんだって思う」
雅姫からはじめて聞いた輝のことに楓は、何故か酷くショックを受けてしまい目眩と耳鳴りがした。
「ん?……その顔は知らなかったって感じだな。まあそうか、こんなこと話してもな……」
「ねえ……輝は…………それでいま幸せなのかな……」
「分かんねーな。でもあいつは自分から人を好きになったことはないよ。一緒にいるうちに好きになるかもしれないって思って、付き合っているみたいだけどね。でも結局あいつの中には「好き」って感情も、「幸せ」って思いも芽生えなくていつも心は「無」なんだ。それに全く欲もない。だから相手が求めても輝から求めることは何もない。人ってさ、求めれば求めるほど麻痺してきてどんどん欲が出るじゃん。それが重くなるとさすがに輝もきついみたいで離れるけどね」
どうしてだろう……何故こんなにも胸が苦しいんだろう。聞かなければ良かったと思ってしまったくらい、その先の言葉が見つからなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 533