アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*
-
自分に向けてくれるあの優しい笑顔、話してくれた熱い気持ち、頭をそっと撫でてくれた温かい手、あの輝は本当の輝じゃないんだろうか。艶のある漆黒の瞳で見つめてくれる輝は、どちらなんだろう。そう考えると楓の胸の痛みはどんどん増していく。
雅姫は話し終わったあと、楓の表情を見て少し後悔をした。
ーー楓ちん、どうして君が泣きそうな顔をするのかな……。
きっと今まで知らなかった輝の話をされて、ショックだったのかもしれない。でもこれは輝と彼女達の問題なわけで、楓がそこまでの顔色になる理由が分からない。なんてことを言えば、さらに悲しい顔をしてくるかもしれない。でもいま話したことは全て本当のことだ。そうだ……もうひとつ本当のことがある。自分から行動を起こすことがなかった輝が「自らの意思」で楓をここに連れてきた。そんなこと今まで一度もなかった。その理由はまだ雅姫にも分からなかったが、この話を楓にするのはまだ早い気がした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 533