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「アングルはこんな感じでいいかなあ」
デジカメで撮った料理の写真を輝に見せて判断してもらう。楓は絵の技術だけではなく、撮影に関しても飲み込みが早くセンスがあるようだ。今まで撮った料理の写真で、悪いと思うものは全くなかった。
「うん。オッケー」
「じゃあ、今日帰ったらこれを見て描くね。では今日もいただきまーす!」
手を合わせてから美味しそうに食べてくれる楓がまた可愛いと思ってしまい、自然と顔がほころぶ。
「そんなに早く食べなくてもまだあるよ、ヒメの分だけど」
「だって凄く美味しくて! ヒメ君も早くこっちに来て食べなよー、美味しいよ!」
「ほいほーい」
気怠そうに雅姫が教卓から下りて二人に近づこうとしたその時、まさかの光景が目に飛び込んできた。
「楓、口にソースが付いてるよ」
楓の口の端に付いていたソースを親指の腹でさらっと拭き、輝は無意識にその指をぺろりと舐めた。さすがの楓もその行動に驚いたようで、瞳を見開きナイフとフォークを持ったまま固まっている。その楓よりも輝の行動に驚いたのが雅姫で、足がこれ以上前に進まない。視線だけを向けると、自分の行動に動揺したのか輝は楓からゆっくりと目を逸らした。雅姫はこの空気の意味を探るためもう一度楓を見ると、顔を真っ赤にして胸元を手でそっと押さえている姿が見えてそれが決定打となった。
ーーああ……そういうことか……。パズルはほぼ完成だな……。でも、分かってないよなあ……きっと……。
雅姫は小さく溜息をつきながら、この空気が他の部員にばれないうちに固まってしまった足を強く叩いて近づいた。
「おっ! 俺の分ちゃんと残ってるじゃん。楓ちん、うまい?」
「えっ? あっ……うっ……うん美味しいよ! 凄く美味しい!」
ーーうわー……動揺しまくり、目も泳いでるし……。
「輝、楓ちんがすっごい美味しいってさ!」」
「そうか…………良かった……」
ーーやべー! こっちも目が泳いでる! そもそもお前があんなことをするなんて、ビックリしすぎて俺の心臓が止まるかとおもったぞ!
雅姫はこの状況が面白すぎて笑うのを我慢するため、自分の太ももを強くつねり堪えた。
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