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「お待たせ、じゃあ帰るか」
片付けと次の下準備も終わり三人が調理室を出ると、どこからか携帯の着信音が聞こえてきた。
「あ、俺だ。…………もしもし。あーうん、いいよ別に暇だし……じゃああとで。……二人ともごめん! デートのお誘いがあったので、行ってきまーす!」
この二人を残して帰るのは、面白いことを逃してしまう気がして正直残念だ。そんなことを思われているともしらず、その場に残された楓と輝はもうすでに長い廊下の先に小さく見える雅姫の背中をただ黙って見つめていた。
「あいつ…………今、何人と付き合っているんだろう……」
ーーどうしてだろう。その言葉がなぜか胸に刺さる。今、僕は何を考えているんだろう。輝は……輝は…………。
「…………輝は今、何人と付き合っているの?」
「えっ?……」
ーーああ……馬鹿なことを聞いてしまった。
心の声が思わず出てしまい口をふさいだが遅かった。また胸が苦しい。どんどん体温が奪われ体が冷えていくのがわかる。口の中もからからで、次の言葉がすぐに出せない。
「どうして?」
「え?…………」
「俺が何人と付き合っているのか気になるの?」
ひんやりとした廊下に静かに響く輝の声は思っていた以上に冷たくて、先ほどまで柔らかだった表情はもうここにはなかった。
「や……気にならないよ…………変なこと聞いてごめん…………」
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