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楓を教室まで送ると、繭が泣きながら二人のもとに走ってきた。輝は「医務室に行く」と言いその場を去ったが、素直に行く気になれなかった。庭にあるベンチに座り腫れた手を眺めながら楓に沢山の痛みを負わせてしまったことを悔い、それを思えば自分のこの痛みなんて大したことはないと思った。
「あーきーらーくーん」
手をひらひらと振り雅姫が現れ、その顔を見て少し安堵した。きっと心配をしてくれて探しに来てくれたんだろう、雅姫のこういう所に頭が上がらない。
「ありゃあ、随分と派手に怪我をされたようで……。瓦でも割ったのか?」
こんなふうに、重い空気にならないように言ってくれるのも雅姫らしい。
「ははっ……瓦より硬かったかも……」
「でもなんだかスッキリした顔してるな」
「スッキリ……か……」
「謝ったんだろう?」
「ん……。でも上手い言葉が見つからなかった」
「だからさ、上手い言葉なんて考えるなよ。思ってることそのまま言えばいいんだよ」
「それは……難しいな……」
「まあな、簡単にいくなら苦労しないよな……。お前その手で明日からどうするの? とりあえず医務室行くぞ。行きたくないんだろうけど、また楓ちんが悲しむぞ」
やっぱり雅姫は何もかも分かってくれる大切な親友だ。楓だけではなく、親友を失わないためにも輝は大人しく雅姫の言葉に従った。
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