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輝のキスは触れる程度で額から瞼にも落とされ、楓が目を開け少し見つめ合ったあとそっと唇を重ねてきた。温かい輝の唇が自分に触れた瞬間、恥ずかしさで硬直してしまう。少し長いキスから唇を離し楓を見ると、大きな目をさらに大きく開け口をぎゅっと固く閉じ息もせず真っ赤な顔をしていた。
「かっ……楓?」
慌てて楓に声をかけると、勢いよく息を吐き何度も浅く速い呼吸を繰り返している。
「息……していなかったのか?」
「だって……どのタイミングでしたらいいのか分からなくて……」
「えーと………もしかしてなんだけど……その……楓はキスはじめて?」
「えっ!? そっ……そんなことないよっ! キッ……キスくらい……いっ……いつも……」
「いつも…………」
それはちょっと知りたくなかった情報だ。嘘か本当か確かめるため輝は眉間にしわを寄せ顔を近づけると、楓は真っ赤な顔をして項垂れた。
「うっ……うぅ……すみません……。嘘をつきました……。今、はじめてしました。二十年間生きてきて今、はじめてしました……」
ーーその様子だとあっちの経験も……。
なんて思ってしまったが、これは楓のプライドを傷つけてしまうかもしれないと思い言葉は飲み込んだ。
「じゃあ……俺がはじめての相手なんだ……」
その言葉にこくんと、小さく頷いた楓の可愛さに輝は自分を見失いそうになった。普段、無愛想や冷酷と言われてきただけに、この姿を崩してしまうと楓が引くのではと思い破顔しそうになったがまだ少し痛む拳を握り堪えた。
「そっか……。じゃあ……これからもっと俺として慣れていかないとな」
「もっ! もっとするとかっ! うぅ…………」
ーーああ……そんなに顔を真っ赤にして……。これ以上煽らないでくれ……。
「俺とするの嫌?」
「あっ……輝は……意地悪だ……」
「ん……意地悪なんだ……。ごめんね……」
何を言われても今は幸せだ。この目の前の愛しい人にもっと思いを伝えたくて、輝は楓の頬をもう一度両手で包み今度は短いキスを贈った。
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