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夢の中の俺
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楓の家から帰ってきた輝はソファに座りただ一点、天井を見つめ続けていた。
「俺……夢見てるのかな……」
まさか楓も自分のことを好きだとは思わなかった。抱きしめた時、その体があまりにも細すぎて内心凄く驚いた。そしてキスをしてしまったことに、どれだけ自分は我慢が出来ない人間なんだと思い知らされた。今まで自分は欲がなくて、性に対しても積極的な方ではなかった。付き合ってきた女性とのセックスは、一応男としてそれなりに下半身が反応するかぎりは応えてきたが、キスをするのさえ億劫でもう自分は男というより人として終わっているのではないかと思っていたくらい、最近は男女の行為が面倒だった。それがどうだ……。楓を好きだと知った日から、触れたくてたまらなかった。
ーーもっと深いキスをしたい。もっと抱きしめて肌を重ねて……それから…………。
ほら、まただ。こんなことばかり考えてしまう。それでも絶対楓には怖い思いをさせたくはないし、酷いこともしたくない。あの時も、あれ以上進まないように楓を抱きしめながら、右手の拳に力を入れてまだ少し痛みがあるその傷で気を紛らせていた。それなのに……。
「輝なら怖くない……」
正直あの言葉はやばかった……。理性なのか分からないが、何かのスイッチが押された気がして危なく暴走することろだった。おかげで握りすぎた拳がまた痛み出している。
「俺……この先、大丈夫かな……」
輝もこのあと全く眠れず、台所に立ち無心に野菜や肉を切り下ごしらえをして、ビーフカレーを作り朝まで鍋の中を見つめていた。
「今までで一番美味そうなのができてしまった……」
楓は喜んでくれるだろうか。早くあの眩しい笑顔に会いたくて、このまま一睡もせず輝は部屋の掃除をはじめた。
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