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甘い昼
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チャイムが鳴りドアを開けると、頬を染め少し照れている楓が立っていた。
「いらっしゃい」
「おっ……おじゃまします!」
「目、赤いね。眠れた?」
「えへへ……全然眠れなかったよ……」
「そっか、俺も一緒」
そう言いながらいつものように、輝は楓の頭を優しく撫でてきた。この行為は、これから自分だけに注がれる。そう思うと楓の胸の中に昨日まであった刺すような痛みは不思議と消えて、変わりに心が甘く締め付けられるような気分になった。そんなことを考えていると頭を撫でてきた輝が、楓の腰に手を回し引き寄せ抱きしめてきた。
「あっ……輝っ! まっ……まだお昼! お昼だよっ!」
「お昼じゃなかったらいいの?」
口角を上げいたずらな笑みを見せてくる輝もいるのだと、また新鮮な気持ちになったが今はそれどころではない。
「そっ……そういうことじゃなくて……。ご家族は?」
輝は北海道に実家がある楓とは違い、元からこの街で生まれて育ってきたはずだ。と、なるとここに両親も住んでいるはず……。困った顔を向けると、輝は楓の手を取りリビングに招き入れた。
「うちには今、誰も居ないんだ。ソファに座ってて、お茶入れるから」
「うん……」
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