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昔の夢
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『下心が有っての優しさは、本当の意味での優しさでは、
ありません
でも人間は皆、誰しも純粋な心など持っていません
皆、嘘つきなのですよ』
あの人が、教えてくれた言葉。
悲しそうに遠くを見つめるその姿は、本当に悲しそうだった。
まるで、自分の体験談を語るように───…
でも、好き
あの人の優しい声も、優しい眼差しも、優しい笑顔も
全部 全部、大好き。
それは、今も昔も変わらない。
『貴方は、私の太陽よ』
未だに鮮やかに頭の中に残る××の声───…
会いたい! 今直ぐ、貴女に会いたい!
でもその願いは、今はもう叶わない…
だって──────…
死んだから
もうこの世には、居ない存在。
そんな人間にどうやって会えって言うんだ?
自分も死ぬ?
そんな事、とうの昔にやったよ。
でも出来なかった─────…あの男のせいで。
『なぁ ○…
こんなクソみたいな世界に生まれてしまったからにはさぁ最後まで他の奴より"人生クソ楽し~!"みたいな?
そんな笑える様な生き方をしてみたらどうだ?
若いうちに死ぬより、よっぽど良いと思うぞ ○」
谷口さんのあの言葉、スゥー と心に響くあの言葉。
『悲しい事が有ったら、その次は、嬉しい事が絶対有る!
だから、笑って前を向け優!』
優‼︎
─朝─
チュン チュン!
(鳥の声)
ベットの上、ゆっくり目を開き、夢から目を覚ます優。
優「この学校で、優(ゆう)に成るのは、初めて…」
ごめんね、2人とも…
想いを込めて、心の中に語り掛ける。
そして冴えない頭で、先程の谷口さんの言葉を思い出す。
『生きてれば、悲しい事も楽しい事も、沢山ある。
だけど、死んだら、それが全部無くなっちまう。
だからこそ、生きている内に、人生楽しんどけ!優』
余りにも、悲しくて、辛くて、立ち直れない事も有った。けど、谷口さんのお陰で今の自分が居る。
大丈夫。昔の様に、弱い自分はもう居ない。
居るのは、ゼロと僕と雪だけ───…
そう自分の心に語り掛け、
ベッドから起き上がり、寝室からゆっくりとした足取りで出て行く優であった。
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