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☆ヒラの能力 フジヒラ
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皆さんこんにちは。俺はフジ。とある超能力組織の幹部的ポジションです。皆何かしらの超能力を持ってるっていう組織ね。そこそこ偉い?ポジションに居るみたい。そんな自覚は全然ないんだけどね。
それはまぁ置いといて。ある任務をボスに命令されたから今から行くところなんだけど、どうやら新しい人が組織に入るみたいで俺とパートナーになるらしい。
正直入って早々幹部とパートナーになるなんてどんなやつなんだ?って思う疑いの気持ちの方がかなり強いんだよね。もし命狙われたりとかしたらどうしよう…仲間同士だしそんなことないと願いたいけど。
「…くん、フジくん。聞いてるかい?」
「あ!はい!すいません、少し考え事を…」
「はは、いいよ。フジくんのことだから新人に寝首をかかれるかもって心配してるんだろ?」
「ご名答…流石ボス…」
「流石だなんて、君の心情が読み易いだけさ。しかし、その癖直した方が良さそうだ。いつか仇となって殺されるかもしれないからなぁ」
「…充分承知しております。でもあなたのために命を落とせるのなら本望です」
「はは、思ってもいないことは言うものじゃないよ。まぁ、暗い話は置いておこう。さぁ、君のパートナーを紹介するよ。入っておいで」
なんか緊張してきた…見た目とか性格とか超怖かったらどうしよう…
「はい、ボス!失礼します!」
元気な返事がかえって来て、ガチャりとドアが開いて入って来たのは予想とは全く異なっていた。
「この人が君のパートナーになるフジくんだよ。自己紹介お願いできるかな?」
「はい。フジさん、僕ヒラって言います!よろしくお願いします!」
ぺこりとお辞儀して元気に話すヒラと言う男。
高い声に男にしては小柄な背丈に深緑の髪、それに綺麗な緑色の目をしていた。
「よ、よろしく…」
「フジくん、緊張してる?同い年だから緊張しなくていいよ。さぁ、早速だけどお二人さん。任務に行ってもらえるかな?急がせて悪いんだけどね」
「あ、は、はい…」
「分かりました、ボス!フジさん、行きましょうか」
「そうだね。うん、そうしようか…」
任務が行える場所まで移動する道中でとりあえず話をしてみることにした。
「ヒラ…さんは…」
「敬語でなくて大丈夫ですよ!同い年ですし。呼び捨て、タメでいきましょう?」
「あ…じゃあヒラもタメで話そう?」
「うん、分かった!それで話の続きは?」
すぐにタメに出来るなんて順応性高いなぁ。俺まだ緊張してるよ…
「えっと何でうちの組織に入ったのかなって思ってさ…」
「ボスに誘われたの。元々別の組織に入ってたんだけど引き抜かれたんだよね。ボスかなり権力あるみたいだからすぐ話進んじゃったよー」
「そうなんだ。ちなみにヒラの能力って」
何?と聞こうとしたらヒラは俺と肩より少し高い位置を見て言った。
「あ、フジ。危ないよ」
淡々とそう言ったヒラは俺の肩を軽くトンと押した。話の途中だったから驚いた。俺はよろけてしまったけどヒラの危ないの意味がよく理解出来ていなかった。
「ヒラ…!ナイフが…」
ヒラのお腹にナイフが刺さっているのを見るまでは。
他の組織が命を狙っているのは知っている。それでも新人で会ったばかりのヒラが傷ついているのは腑に落ちない。
ヒラを刺した男は拍子抜けした顔でこっちを見ていた。多分標的は俺で、間違ってヒラを刺してしまったんだろう。
とにかく今はそいつのことなんかどうでもいい。ヒラのことが心配でたまらない。
「ヒラ!待ってて、すぐに処置するから…!」
ヒラの口からは血が滴り落ちて、道に赤い点を作っていた。もしかしたら最悪の事態も考えなくてはならないかもしれない…そんなことすらよぎった。自分の顔から血の気か引いていくのが分かる。
その時、ヒラがおもむろにナイフを自分のお腹から引きずり出した。
「げほっ…あーあ、この服お気に入りだったのに破けちゃったよ。ったく…弁償してよね?」
「は…?お前何で生きて…」
「え、僕の能力知らないで来ちゃったの?もう、ちゃんとリサーチしてから来なよね!少なくともフジの命を狙うつもりならもう少し上手くやらないと。今回は僕だったからいいものを、間違って他の人を刺したらシャレになんないよ?」
「ヒラ…何でそんな平気で話せるの…?一体ヒラ、何者…?」
「え!?フジも能力知らなかったんだ。ボスからきちんと説明されてないみたいだね。じゃあ、改めまして僕の能力は不死身です。ヒーリングも出来るよー。あ、年取らないわけじゃないよ?怪我がすぐ治るってだけ。つまり生きてる間は不死身ってことになるかな。病気もしないし。まぁ、それは置いといて。フジ、怪我してない?」
「うん、ヒラのおかげで…でもそんな能力知らなかった…」
俺はまだポカーンとした顔でいる。まだ頭の整理が出来てないみたいだ。
「あー…説明されてなかったみたいだし知らなくてもしょうがないよ!ほら、この通り僕ピンピンしてるよ?だから安心してね!」
「うん、本当に大丈夫なんだよね?無理はしないでね?」
「無理してないよ!心配してくれてありがとう。フジは優しいね!それよりさ、あいつ殺しといた方が良くない?またフジの命狙われたら僕不安になっちゃうよ…」
「そうだね。殺しとこうか。俺もまたヒラが刺されたら悲しいもん。ということでちゃっちゃと死んじゃってよ、名前も知らない誰かさん」
俺は腰に備え付けていた銃で頭を撃ち抜いた。こんな奴、能力を使う必要もない。後始末は部下に任せよう。
とりあえず今は安全にアジトに帰らなきゃ。不死身とは言え、傷ついているヒラを動かせたくはない。任務は後でも良いだろう。怪我人をほっておくわけにはいかない。
「あのさ、ヒラ。1回アジトまで帰ろう?俺がアジトまで運ぶからさ」
「は?!いやいや、運んで貰うのは悪いよ。それにしてもらう理由も…」
「だってまた俺のせいでヒラが傷ついたら嫌だよ。俺今度はちゃんと気を配っておくから。もうヒラを傷つけさせたくないんだよ。ね?俺に運ばせてよ。出たばっかだからすぐそこだし、少しだけだからいいでしょ?」
「うーん…まぁ傷は結構すぐ治るんだけどねぇ…」
「それでも!心配だから!」
「じゃあ…お言葉に甘えて?」
「よっしゃ!じゃあ帰ろー!」
俺はヒラをひょいと持ち上げてお姫様抱っこの形で抱えた。力はあるほうだから、ヒラを持ち上げるのは造作もない。
「へっ!?ちょ、フジ!これは恥ずかしいよ!/////降ろして!」
じたばたと暴れるヒラを宥めるように言った。
「こら、暴れないの。落ちちゃうよ?少しの我慢だから」
「だって…おんぶだと思ってたから!お姫様抱っこだなんて思わないじゃん!もう…こんな年になってまでって本当恥ずかしい…/////」
顔が赤くなっていくヒラを見てると何故かとても愛おしく感じてしまった。人が恥ずかしがってる姿を見て愛おしいって…俺は変態になったのか?
「何ニヤけてんの!俺こんな恥ずかしい思いしてんのに!怒るよ?」
「ごめん、ごめんって!急いで帰るから許して!」
俺はヒラを落とさないように慎重になりながらも小走りでアジトまで帰った。
愛おしく感じた理由が分かるのはまた別のお話。
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