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「三宅。」
次の授業の用意をしてぼんやりと窓を眺めていると、不意に名前を呼ばれどきりとする。
声の主へと視線を向けると、それは隣の席の日野 敬太だった。
「なに?」
「あのさ、お願いなんだけど、ノート貸してくれない?」
少し考えて、一限の数学のノートかと思い当たる。
「…いいけど。」
「まじ?やった!」
ニッカリと笑いながら、意外といい奴なんだ、だのと言ってる日野にノートを渡す。
クラスの人気者。日野敬太。
俺はこいつが苦手だ。
栗色の髪と瞳に、170後半はある身長。
元バスケ部キャプテンで、スポーツ推薦での進学が決まっているとクラスメイトが言っていたのを聞いたことがある。
家族との仲がとても良いと、授業参観や体育祭で感じた。
俺にないものを全て持っているようなやつ。
望まれて産まれて、愛されて育って、周りからも慕われていて。
「…ていうかさ」
と言ってから言葉に詰まっている日野に違和感と鬱陶しさを感じる。
「なに?まだ俺になんか用事でもあんの?」
「いや…やっぱりなんでもない。」
そう呟くと、日野は自分の席へと向かった。
このやりとりを聞いていたであろう女子生徒が、「なにあれ三宅感じ悪。」「三宅のくせに」とほざくのが聞こえて気分が悪くなる。
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