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"どうした?そんな顔して。"
-え、僕、へんな顔してました?
"変、っていうか…心ここに在らずって顔。"
-ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃ…
"いや、別に怒ってるわけじゃないんだ。
ただ…"
-ただ?
"他の奴のこと考えてたら妬けちゃうなって。"
-っ、
"はは、真っ赤。"
『彼』はそう言って、少しだけ冷めてしまったコーヒーに手を伸ばした。
店内に流れる、穏やかなBGM。
そのBGMのBGMに、ぱらつく雨の、音。
"あー、早く止まないかな、雨。"
目の前には、雨が嫌いな年上のひと。
そして。
-そう、ですね。
早く止んでほしい、です。
あの頃とは違う僕。
"仕方ない、出るか。"
―はい。
雨が、すきだった。
僕らを引き合わせてくれた雨が、
僕らの距離を縮めてくれた雨が、
僕は、だいすきだった。
"雨だと手、繋げないから残念だよ"
そう言って当たり前に自分の傘を開く彼。
一歩前で、僕が傘を開くのを待つ。
"行こうか。"
雨音の中、
傘は2つ。
僕の横には、雨の嫌いな年上のひと。
貴方なら…
"雨が上がったら…
またどこか、一緒に出かけないか?"
過去の雨から僕を、そっと連れだしてくれますか…?
おわり。
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