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『週末は台風の影響で、激しい雨となりそうです。
お出かけの際は十分にーーー』
"雨"…
その響きにテレビへ目を移す。
ぼんやりと天気予報を見ていてふいに、
俺の頬を"雨"が伝った。
==============
残酷にも、雨。
==============
ザアザアと、窓を打ち付ける雨の音が部屋を包む。
俺は未だに雨に縛られたままで。
…いや、違う。
縋っているのは俺の方だ。
梅雨の季節は夏に追い出されるように去ってしまったし、
じとじと湿気の多い夏は、塞ぎ込む俺などお構いなしに過ぎていった。
台風の季節。
『恋人らしき奴と歩いてんの、見たんだわ。』
あの日、悪友から聞いた事実が俺を掻き乱す。
そのくせ心は理解しないままで、
『次に進め』、
頭からの指令を無視し続けている。
どしゃ降り。
ど しゃ 降 り 。
ど し ゃ 降 り 。
まるで地面を叩きつけるよう降る雨に、
-どうか俺を流れ消して。
そう願ってみても、叶うはずはないというのに。
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