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悪いのは、逃げ出した君かな?
それとも、
逃げ出した君を追わなかった、
この僕なのかな?
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さよならは雨の向こう。
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雨音がうるさい。
じめりじめりと、まるで僕を蝕むように。
(どうせならそのまま、…。)
好きだったんだ、
独特の湿ったにおいも、
傘を叩くリズムも、
(何より、いつも以上に君が近いことが、)
好きだったんだよ。
だからこそ、今となっては僕を苦しめるのだけれど。
"さよなら"は、雨が桜を散らすあの季節で、
別れを切り出したのは、弱すぎたあの時の僕で、
"愛してた"は、僕の最後の強がりで。
焼き付いて離れないのは、
愛しい君が、僕以外の誰かとからだを繋げていたあの光景、なんかじゃなかった。
それを見たのは初めてじゃあなかったし、
"慣れてしまった"だなんて だいそれたことは言わないけれど、
僕の心を切り裂いたのはそんなことではなく、
「愛してる」、
誰かに囁くように言った君の声、
僕の大好きな、君の声だった。
「あぁ、終わった」、
雨音を後ろに聞きながら、僕はただそれだけを思った。
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