アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
なぁ。
俺はあれから、ちゃんと笑えなくなったよ。
お前と出会って折角、笑顔というものを知ったのに。
お前がいると、俺は泣いてばかりだったけど、
それは今でも変わらない。
ただ違うのは、涙の色が変わったこと。
嬉しくて泣いていた日々が懐かしいんだ。
お前という存在が俺を保っていたのが今ならよくわかる。
あれから俺はまた、眠れなくなってしまったから。
今でも朝は弱いままだし、
起こしてくれる愛しい存在がない今、
目を覚ます意味を無くしてしまった。
大切なメールたちは未だに保護したままで、
おそろいの携帯だって手放すことはできない。
唯一の繋がりだと縋る俺は、ハタから見たら馬鹿なんだろうけど。
雨が降ると、
いつもお前の顔がちらついて。
一つの傘の下、手を繋いで歩いた日々が、
ひたすらに懐かしくて、愛しくて、手を伸ばしては空をきって。
あぁ、お前は今、誰を想っているんだろうな。
俺の世界は未だに、
お前がいないと視界が悪くて何も見えない。
そう、例えばあの時の雨のように、
お前が"さよなら"と言ったあの日の雨のように、
少し前でさえ、霞んで見えないんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 27