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曲を弾き始めた途端、優が目を見開いたのが視界の端で見えた。逸らしていた顔に驚きの表情を貼り付けたまま、ゆっくりと俺を視界の正面に捕らえた。
優に見つめられる中で懸命に弾いて、終わると同時に恥ずかしさで頭を掻いた。
「少しでも今日練習しておいて良かった。」
俺が照れたように笑いかけても、優の表情は変わらない。
初めて目を合わせて首を傾げると、優は少し体を引きながら疑うような視線で俺を見てきた。
「なんで…。それ…最近出たばっかなのに…。」
「CDは、な。音源なんかいくらでもあるから、それ聞いてある程度練習してたんだよ。んでCD出たら曲全部の音を覚える。俺タブ譜読めないから。」
最後は自分でもおかしくなって吹いてしまった。
確かに俺は譜面が読めない。本当におたまじゃくしの運動会状態に見える。どの音符が何を表しているとか全くわからない。
けど、音だけならわかる。耳で聞いた音を楽器の音で探し出すのは得意だ。今までもそうやって、こっそり予習してたりした。
だけどたぶん、優が驚いているのはそこじゃない。
「Rainの最新曲。スティック見て予想はしてたけど、曲弾いてて確信した。あんた、RainのYOUだろ?」
「…っ!」
俺を見る優の目が、完全に警戒へのそれに変わった。
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