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8話 sideR
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「あ、あの、ちょっと気になって来てみただけで、あの、盗み聞きとかそういうんじゃ……」
なんで分かったのあの人、あまり音は立ててないはずなのに。
3人からの視線が怖くて俯き気味で慌てて話す。
まとまらない頭でとりあえず自分の状況を説明する。
……説明というか、言い訳みたいになってるんやけど。
「いいよ別に気にしてないから。ここに興味あるんでしょ?中入りなよ」
俺に最初に気づいたと思われるメガネをかけた人が笑って手招きしている。
……優しそうな人だな。
鞄を持つ手が無意識にぎゅ、と握られる。
足を手前に出し空き教室の中へと入った。
「あ、ありがとう…」
改めて教室を見回す。
ゲーム機。お菓子のパッケージ。鞄。上着。
いろいろな物が置かれていた。
すっごい自由なんやなぁ。
「……あのー……」
少し低めのどこかで聞いた声で話しかけられた。
声がする方に目を向けた。
「あ、えぇと…………きよ、君?」
転校早々、冷たい態度を取ってしまった相手。
間違ってないよな、と思いつつ名前を呼んだ。
……誤解されてたら嫌だし謝んなきゃ。
「あの、ごめんなさ…」
「俺の名前覚えててくれてんの!?」
俺の謝罪の言葉はそんな大声に掻き消された。
思わずビクッと肩をはねらせてしまった。
それからゆっくり顔を上げる。
目に映ったのは、嬉しそうに満面の笑みを浮かべたキヨ君だった。
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