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9話 sideK
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名前を覚えられていた。
たったそれだけのこと。
なのに、嬉しかった。とても。
「うん、名前言ってくれたし…合ってたんなら良かった」
転校生は安堵の笑みを浮かべた。愛嬌がある、綺麗な顔立ち。
そんな事を再確認させられた。
じぃ、とその顔を見ていればぺーぺーが口を突っ込んできた。
「ねぇ、香坂君ってキヨ君の事嫌いじゃないの?」
その隣でそれが言いたかった、とでも言うかのようにつわはす君が頷いていた。
確かにこの反応は嫌ってる感じでは無いと思うけど…。
「そ、その事なんやけど…あの、ちょっと緊張してて顔が強ばってただけで…」
ぼそぼそ、と小さい声で話す転校生……、香坂君。
なんとか聞き取った俺は目を見開いた。
嫌われてなかった。
その事実だけでなんかもう満足していたのだが…。
「嫌いっていうよりかは…………まぁ、好きの方?」
あ、変な意味じゃなくて!と慌てて付け加えられる。
嫌われてなかった、寧ろ好かれている。
これでこれからめっちゃ話しかけられんじゃん…!
この数10分でいろいろ誤解が解けた気がする。
「よしっ」
なにやらこそこそと話していた2人がこっちを向いた。
そしてぺーぺーが口を開いた。
「ゲームしよ!」
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