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13話 sideR
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「れとさん早く早く!」
「待っ、ぴーぴー早い、って…!」
放課後。
俺はぴーぴーに連れられ、テニス部の方へと向かっていた。
とても興奮した様子のぴーぴーに手を握られて連れて行かれているのだ。
走っている間何回か話しかけられたが言葉を返す余裕は無い。
付いていくだけで精一杯だった。
テニスコートに付いた時は俺はへとへとになっていた。
「着いたー!」
ようやく足を止めたぴーぴーはコートへと入っていく。
俺はそれに引っ付いて行った。
先輩だと思われしき人が話していたりボールを打っていたりしていた。
それを横目で見ながらぴーぴーの後ろを歩いていく。
「先生、この子今日見学したいそうです」
「ん?あぁ、転校生の子か。入部希望なんだ?」
足を止めたぴーぴーが話しかけたのは顧問の先生だった。
目線がこっちに向けられ思わず間抜けな声を出してしまう。
突然に話しかけられると心臓に悪い。
「へっ、あっ、はい」
こくこく、と小さく頷く。
傍から見れば完全におかしい人の動きだ。
それを見てぴーぴーはくすくす、と小さく笑っている。
……馬鹿にしてるやろ。
軽くぴーぴーを睨みながらも顧問の言葉に耳を傾ける。
「前の学校でもやってたんだよね?テニス」
じゃなきゃこんな2年生の時期に入らないよなぁ、と顧問は笑いながら言った。
また頷いて愛想笑いを返す。
一応やってはいたんだけど…、まぁ上手かった訳では無い。
そこまで考えたところでピーッと笛が鳴った。
「あ、そろそろ行かなきゃだ」
ぴーぴーが先程から担いでいたラケットを取り出す。
水色と緑という爽やかな色合いだ。
なんか、ぴーぴーっぽいというか何というか。
「今日ねぇ、先輩達と試合するんだ。だから見ててね?」
に、と得意げな顔でこちらに笑いかける。
ぴーぴーって上手いんかな、テニス。ゲームは上手かったけど。
分かった、見てる!と返すとぴーぴーは手を軽く振ってコートへと走っていった。
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