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廊下を出ると、そこにはもう橘の姿は無かった。
「あぁ、もうどこ行ったんだよ。あんなふらふらなまま…」
俺は焦る気持ちのまま、頭をボリボリとかいて、
橘を探しながら廊下を歩き始めた。
目の前に見えたのはトイレ。
絶対ここだ。
俺の勘がそう訴えた。
別に当たったことなんてないけど…
「橘、居るか?」
「居ない。来ないで…ゲホゲホ」
居ない。
なんて居る証明だろ。
本当、バカ…
声のしたほうに足を進めていくと、不自然にドアが開いていた。
「橘、大丈夫か…あぁ、戻しちゃった?」
壁にもたれかかりながら荒い息を繰り返している橘の頭を撫でてあげると、
涙目の橘は、「ごめんなさい」って。
確かに「最初から俺に頼れよ」そう思ったけど、謝られるのは違う。
というか、俺がちゃんと橘に気持ちを伝えないからいけないんじゃないか…
「とわ、ここは俺が片付けておくから保健室戻るよ?
大丈夫。あいつは居ない」と思う…
「とわ…? えへっ…嬉しい」
ってふわっと笑って…
なんて言うか。
可愛い。
橘は俺の差し出した手を取って立ち上がった。
まだ辛そうで危なっかしいので、いわゆる『お姫さま抱っこ』をしてあげる。
まだ赤羽が居るんじゃ…と少し不安になったが、赤羽は居らず、
橘がもと居た、ベッドに寝かせてあげた。
「ごめんな、俺が悪かった。俺があいつに変な態度とってたもんな。
ちゃんと気持ち伝えてなかったもんな…
好きだよ。とわ」
俺は恥ずかしさのあまり、そっぽを向いた。
それでも手だけはとわの頭に置いてあげて…
「先生、僕も」
とわの甘い声に不覚にもドキドキしてしまった。
俺は、赤くなっているであろう頬を隠すように、
急ぎ足で保健室を飛び出した。
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