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束縛
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息…苦しい。
やばい。
息出来ない…
「おい、橘?」
「悠斗くん、大丈夫だからね…先生はちょっと外、出てもらっても…」
「あぁ…」
「ゲホゲホ…はぁっはぁっ…やっ…やだ」
「先生は居ないからね…ゆっくり息しようか。
ほら、落ち着いて…ね? そう、上手上手」
「はぁ…はぁ…先生、ありがとう…」
お礼を言うのが精一杯。
だって
怖かった。
息が出来なかったから…
兄様は発作がおこるたびにこんな思いをしてるのだとしたら…
凄く怖いよね…?本当。
「今日はさ、もうお兄さんに迎えに来てもらおうか。ね?」
「うん…」
僕は、はる兄が来るまで…と、
布団に潜り込んで、瞳を閉じた。
目を開けると、天井が変わっていなかった。
保健室の真っ白な天井…
そんなに寝てなかったのかな?
と時計を見ると、あれからもう一時間半もたっていた。
はる兄、遅いな…
「あっ悠斗くん、起きたの?」
「あの…えっと… はる兄は?」
緊張しながらも声を絞り出すと、
先生は時計を見ながら、
「迎えに来るって言ってたんだけどね…」
って。
はる兄大丈夫かな?
事故とかあってないかな?
僕は、ピアスを握って不安を押し殺した。
先生が「もうすぐ来るよ。大丈夫」
そう言ったとき、保健室のドアがガラガラと開いた。
「はる兄!」
僕は嬉しくて、ベッドから飛び降り、はる兄に抱きついた。
「なんだ、元気じゃん」
はる兄はぽつりとそう呟いた。
はる兄、怒ってる?
はる兄の顔色をうかがっていると、
今まで一度も合っていなかった目が合って、
「帰るぞ」
そうぶっきらぼうに言われた。
やっぱり怒ってる…
車に乗って、しばらくは無言だった。
いつもなら何かしら話してくれるのに…
「はる兄…えっと… ゴメンナサイ」
沈黙を破るようにそう呟けば、
はる兄は少しも僕を見ずに、
「別に…怒ってなんかないけど?」
って。
どこか冷めた感じの言い方が、泣きそうなくらい怖かった。
家に帰ってもずっと無言で、
それは朝まで変わらなかった。
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