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束縛
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ー悠斗
「ねぇ、悠。兄貴どうしたの?」
「分かんない」
兄様は、「そっか」って僕の頭をなでて、
無言のままスマホを触るはる兄の隣に座る。
「兄貴、今日も俺、早く出るわ」
「なんで」
兄様の明るい声とは反対の、
冷たく、低いはる兄の声が部屋に響いた。
「朝課題。じゃあご飯食べるな… ほら、悠も」
「あっ…うん…」
食欲は、全くと言っていいほど無かった。
だけど、兄様とはる兄に心配をかけるわけにはいかないから…
「おいとわ、最近多くないか?それ。
別に毎回行かなくてもいいんじゃないか?」
「良いだろ、行ったって。兄貴には関係ないし…ゲホゲホ」
「とわ!?」
「大丈夫…もう行く」
兄様は、急いで味噌汁を飲み干し、
咳き込みながら荷物をまとめて、逃げるように家を出て行った。
残されたのは、昨日に引き続き機嫌の悪いはる兄と、
はる兄の機嫌を伺う僕。
「悠くん、朝ご飯。 ほら学校行くよ」
「…学校やだ… 怖い、 ごめん、なさい…。」
「そう。 じゃあいいよ」
冷たく言って、すぐにまたスマホに目を落とすはる兄。
心臓がドキってなって、
僕はお腹減って無かったのに、一気に味噌汁とご飯をかきこんだ。
「…ケホッゲホゲホ… はぁっ…」
「悠くん!? そんな一気にかきこむなよ」
「…ごめん…なさい」
はる兄はため息をつきながらスマホを直し、
兄様と僕の食べ終わりのお皿を片付けた。
「はる兄、 えっと…僕、が洗うよ」
「は? 別にいい。 悠くんは座ってな」
「…うん」
ザーッと水の流れる音と、キュッキュッとスポンジの擦れる音。
そして、
はる兄のため息。
こんなときに限って、昨日の先生の言葉が頭を回る。
色々なことが不安で不安で、ぐちゃぐちゃになって…
僕はトイレに走って、
味噌汁もご飯も、全部全部
吐いた。
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