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束縛ー2ー
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それから先生が戻ってきて、蒼くんに「サボるな」とか何とかいいながら、
僕のドリルを見て頑張ってるね。って。
「いや、だから先生。 俺熱っぽいんですって」
「まぁいいよ、今日だけな。 どうせなら給食もここで食べていけ」
「えっ!…あぁ、分っかりましたぁー」
蒼くんはニッと笑って僕を見る。
いやいや、困るよ。
困る…
他人が居るって嫌だし、
変に緊張するし…
あっ蒼くんは“他人”じゃなくて『友達』なのかな?
いやいや、うぬぼれるな。
僕たちは別に友達なんかじゃなくて他人。
ただの他人。
だから信じちゃいけないし、
ただ利用されるだけ。
頭のなかに、はる兄の言葉がリピートされる。
『他人なんか信用するな。
他人なんて利用されて裏切られるに決まってる。
だから悠。
お前は俺から離れるな。
はる兄から離れるな。
お願いだから…』
ほらやっぱり。
他人は信用しちゃ駄目なんだ。
僕が信用していいのははる兄だけ。
信用していいのははる兄、はる兄…
はる兄…?
「…ぅと、悠斗! 大丈夫か?過呼吸になってる」
「…えっ、いや… 大丈夫、はぁっ…はぁっ…」
「悠斗くん、落ち着いてね。 深呼吸して、スー ハー そうそう。上手だよ」
「…ごめん、な…さい」
2人の目線が痛くて、
僕は不自然に目を逸らしてしまった。
「悠斗、さっきはどうした? 俺と一緒に食べるの嫌だった?」
「…! そんなこと… ごめん」
確かに、“他人”と一緒に食べるのには抵抗がある。
嫌じゃないわけじゃない。
でも、
でも…
「ごめんね、無理に言って。 俺は上で食べるからじゃあ待たな」
手をひらひらさせてドアに向かう蒼くんを、僕はぼーっと見ていた。
蒼くんも振り返らずにドアに向かって…
「ん?どうした?」
蒼くんが急に振り返る。
蒼くんの視線の先は僕の手。
ぼーっと見ていたはずの僕の手は、勝手に動いて、
優しく微笑む彼の袖を掴んでいた。
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