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束縛ー飴玉ー
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「あ…いや、なんでもなくて…」
「悠斗が嫌じゃなければ一緒に食べるか?」
「嫌じゃない!!」
「…ハハッ、そんな食い気味に言わなくても。じゃあ給食取ってくるからちょっと待ってろ」
「うん…」
ーーーーーー
「それでさ、悠斗… ん?悠斗…?」
「…えっ? ごめん、蒼くん… それで?」
給食を半分ほど食べたくらいから、僕はお腹に限界を感じていた。
それでも、いつものように残すのはなんか嫌だったし、
蒼くんと対等で居たいと思った。
僕だけ食べれない。とか嫌…だって。
けど限界はとうに越えていて、今はただただ吐き気に耐えながら、
口に詰め込んで飲み込むことを繰り返すだけ。
だからせっかくの蒼くんの面白い話もちゃんと聴けなくて…
「悠斗、大丈夫? なんか吐きそうになってない?」
「…ふぇっ?」
「もう止めとけ。な? 食べきれないなら俺が食べるし」
当然のようにニッと笑いながら僕の分の給食を手にとって食べ始める蒼くん。
もちろん自分の分はとっくに食べ終わってた…
やっぱり僕は駄目だな。
給食ですらちゃんと完食出来ない。
蒼くんはいっぱい食べてるのに…
僕は食べれない。
蒼くんは明るく面白いのに…
僕は怖がってばっかりで教室にすら行けない。
蒼くんは、
僕は…
目がカーっと熱くなる。
視界が歪む。
「悠斗? どうした?悠斗?」
「蒼くん…僕っ、僕っ… 給食、ちゃんと食べられない。量、多い…でも、蒼くんは…」
蒼くんは簡単に食べて…
なんでこんなに違うの?
なんで?
なんで僕は…
「悠斗はそんなこと気にしてたの? もう馬鹿だな…」
「…えっ?僕、馬鹿ぁ?」
「そうだよ。 人にはね、一人一人出来ることと出来ないことあるんだし。」
蒼くんにもあるの?
出来ないこと。
僕にもあるの?
出来ること。
「蒼くんにも…? お話スッゴい面白いのに…」
「俺の話面白い!? 初めて言われた。 ってかね、俺は悠斗みたいに勉強出来ないな」
「勉強?」
「そう。 悠斗がやってる所難しくて分かんないんだよ。 俺、頭悪いし」
全然そうは見えないけど、蒼くんは頬をかきながらえへへっと笑う。
カッコイいな。
蒼くんの笑顔。
「そうだ! 友情の印な、これあげる」
蒼くんがポケットから出したのは、
キラキラと光る桃色の飴玉だった。
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