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すれ違い
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キャベツと人参…
悠はピーマン嫌いだけど一緒に炒めるか。
野菜はこれでいいとして、
あとは肉。
豚肉にしようか牛肉にしようか…
それとも…
なんて色々考えてながらお肉売り場に向かうと、
そこには、豚肉を手に取る見慣れた人の姿があった。
先生!?
一緒駆け寄ろうとして辞める。
びっくりした。
かなり横顔が先生に似てる…
けど、
先生は仕事中だし別人だよな。
勝手に先生を他人に投影するなんて、
俺、そんなに先生に会いたいのか…?
なんて。
本当、あの人先生に似てる。
先生らしき人をちらちらと見ながらお肉を選び、
豚肉を手に取った時だった。
「先生っ!!」
誰かが確かにそう言った。
見なければ良かった。
気づかなければ良かった。
そう思っても後の祭り。
ふっと顔を上げた俺の視線の先に居たのは、
“仕事”をしているはずの先生と、
その手を握る赤羽くんだった。
先生も少し眉間にシワをよせるだけで、
手を振り払ったりはしない。
2人とも笑顔で。
なんで?
なんで先生がここに居るの?
なんで仕事だ。って嘘ついたの?
なんで?
頭の中が不安と疑問と怒りで埋め尽くされる。
だから、
先生たちが俺に近づいてきてるのにこの場を動けなかった。
本当なら、俺は気づいてないふりをして、
この場をさっさと立ち去れば良いはずなのに…
何もかも気づいてないふりをして、
先生の“嘘”も“本当”にしてあげて…
明日また「おはよう」と言えばいいのに。
最悪だ。
体が金縛りにあったように動かない。
そんな俺の前で、ピタッと足音がやむ。
先生と目があう。
耳を塞ぎたかったのに、
神様はその時間を与えてくれなかった。
「…とわ? なんでここに…?」
なんでと聞きたいのは俺だよ。
そう言いたいのに、
その言葉は喉につっかえて出てこない。
先生のいつもの優しい声が頭上に響く。
頭の中で反響する。
胸が痛い。
息が苦しい。
…なんで?
気持ちが抑えきれないよ。
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