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日常
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「今日はどうしようか。学校行く?」
悠くんはあんまり学校に行けていない。
トラウマになる出来事があったみたいで…
俺は別に、「中学校なんて行かなくていいんだよ」って言ってるんだが、
自分を『熱血教師』なんて勘違いしている体育教師が、悠くんが休む度に電話をよこしてきて…
結局折れた悠くんが『保健室登校』っていう形で学校に行くことになった。
悠くんが学校に行けなくなったのはお前のせいなんだけど…
「…ん…ば…ぅ」
「えっ?」
「頑張る。だから着替える」
悠くんは悲しそうに俯いて、部屋に入っていった。
辛いなら行かなくていいのに…
頑張らなくていいのに…
そう思いながら、少し息の上がってきたとわの頭をなでた。
「とわ、熱上がってきたな…冷えピタ替えようか」
俺はとわをソファーに寝かせ、
冷えピタを取りに行くついでに悠くんの部屋を覗いた。
「…っ!!はる兄…」
ドアをノックしなかったせいか、悠くんを酷く驚かせてしまった。
そしてその悠くんは、案の定パジャマ姿のままだ。
「悠くん、辛いならいいよ。学校行かなくて…」
「行く。だからね…着替えさせて…ください」
そんな可愛く言われたら断れねぇよ。
無意識だろうが、それは上目遣いってやつだからな…
「はいはい」
俺はいつものように丁寧に、制服へと着替えさせてやる。
まだ傷は消えねぇな…
「…っんぁ!!痛っ…」
「あっごめん。まだ痛むのか?」
こんな小さな身体にどれだけのことをしたんだ…
本当に、あいつらだけは許せない。
許す気なんてさらさらない。が…
「はる兄…ありがとう」
「ううん。じゃあ学校行こうか。いい?」
「うん」
俺はとわの冷えピタを替えて、そのまま抱えた。
その振動に起きたみたいだけど、
車に乗せると、もう一度眠りについた。
学校に送るだけだけど、一人で家に置いておくのは心配だから…
それにしても熱い…
素人目にも分かるくらい、
辛そう…
「はる兄…行ってきます」
「帰るときは電話しろよ?迎えにきてやるから。な?」
「うん」
「じゃあ悠斗をお願いします」
俺はそう言って学校を後にした。
毎回だけど、俺が離れるときの、悠くんの顔が頭に残る。
悲しそうで、辛そうで、寂しそうな顔が。
そんな顔を見て、俺は安心する。
心を痛めるのではなく、安心する。
いつもの呪文が効いてるんだなって…
俺は一人じゃないんだって…
俺は最低な兄だ。
でも始めから俺は最低だったから…
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