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学校
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「ふはっ中二病かよ」
なんて言って、一条は教室に戻った。
一人になると、やっぱり心細い。
見慣れた保健室のはずなのに、怖い。
怖い。
カーテンの奥から誰がやってくるのか分からない恐怖で、
無意識に体が震えた。
身体中からの汗で、制服もびしょびしょ。
体だけじゃなくて、心も弱いなんて、
俺、何なんだよ…
「誰かいたのか?」
突然カーテンが開く。
カーテンを凝視していた俺の頭は真っ白になって…
「…っ!?はぁはぁ…」
案の定発作をおこしてしまった。
「ごめん。橘か…驚かせるつもりは…」
そう言って、何を思ったのか、俺の背中をさすってきた。
「いやっ…やめて!!触らないで…っ…はぁはぁ」
俺は先生の手を思いっきりはたいて、
ベッドの上でうずくまる。
「橘、水は…」
「やっ…いや。怖い」
差し出されたコップの水を床にぶちまけ、
水なしじゃ飲みにくい薬を、やっとの思いで飲み込んだ。
「ごめんなさい。先生」
落ち着いて少しバツが悪くなった俺は、
下を向いて頭をかく。
「いや、驚かせて悪かった」
先生は面倒くさそうに床を拭きながら、俺に向き直った。
「お兄さんに迎えにきてもらうか?
それとも教室行くか?」
教室なんて行きたくない。
でも兄貴の仕事の邪魔もしたくない。
「ここに居るのは駄目?」
「別に好きにしろ」
俺はこの空間が好き。
教室なんて居心地悪いだけだし、
病院は夜、寂しい。
家は好きだけど、弟に嫉妬するから…
何より、先生が好き。
無駄に干渉してこない先生が好き。
「俺が寝ててもどっか行くなよ」
少し命令形。
「あ?俺はここが仕事だから…」
その言葉に少し安心する。
本当少しだけ。
でもだから眠れるんだ。
まぁすぐに起こされると思うけど。
「おやすみ先生」
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