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病院
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ー遥
俺がバッグを出して、中身を取り出したとき、
とわが息を呑んだのが分かった。
でも言わないと…
「お前、だから学校行きたくなかったんだろ?」
「ごめん、兄貴。言わなくて…」
なんでとわが謝るんだよ…
悪いのはクラスの奴らだろ?
それと、気付けなかった俺。
「『仮病』なんて言われて辛かったよな…気づかなくてごめんな」
そっぽを向いていたとわの頭をポンポンとなでると、
綺麗な瞳から、透明な熱いものが流れだした。
「兄貴…見るな。やだ」
こんなとわの姿も可愛いと思うのは
いけないことだろうか…
「後ろ向いてるから」
そう言って後ろを向けば、布団で押し殺した嗚咽が聞こえてきて、
俺まで辛くなった。
あんま泣くなよ。
過呼吸になるから。
そう思ったけど、「後ろ向いておく」と言った手前、振り向けなかった。
「お兄ちゃん…ごめん」
背中に温もりを感じた。
俺のお腹に手を回して、背中に顔をうずめて…
「とわ、頑張ったな」
俺は可愛いとわに我慢しきれず、
振り向いて、とわの額にキスをした。
「もう学校行くな。家にいろ」
「え?」
とわは驚いた顔で俺を見つめた。
なんで?
行きたくない…だろ?
「まぁ今週は入院だけど、退院しても家にいろ」
「学校行くよ。だって……せっかくお兄ちゃんが通わせてくれてるから…俺、頑張れる」
そんなの気にするなよ。
俺が枷になってる…か。
理由を言うまで少し時間が空いたのが気になるけど…
「1日に3回も発作おきるなんて言語道断。俺はとわくんの命が大切だから。ね?」
とわが『お兄ちゃん』って呼んでくれるのなら
俺も『とわくん』って呼んでいいよな?
「それと発作は関係ないから」
今まで可愛かったとわの顔が一気に険しくなった。
本当に関係ないって言いたいようで…
「とわ?」
「学校行く。だめ?」
そんな可愛い顔。
やめて…
「退院してから考える。でも本当に行きたいのか?」
「うん」
とわは嬉しそうに顔を惚けさせながら
首を縦にふる。
そんなとわとは裏腹に、
俺の顔が険しくなるのがわかる。
なんで?
とわは俺が好きなんじゃ…ないの?
俺の言うこと聞けないの?
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