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遥
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それから、何日も母親は帰って来なかった。
そうなると面倒なのは、高熱を出している弟の世話。
別に無視することも出来るんだが、
「お兄ちゃん、助けて」って夢の中でも叫ぶ弟を無視するのは、心が痛んだ。
俺は“必要なんだ”
なんて、
単純な俺は、弟に近づく。
「とわくん、大丈夫?冷えピタでも貼ろうか?」
「嫌!!触らないで!!」
弟はそう言うと、この世の終わりみたいな顔をして、「ごめんなさい」を連発した。
「触らないで」って言われたことはショックだったけど、
それよりも、胸を押さえて息を荒げているほうが気になった。
そういえば心臓も弱いんだっけ?
「どうすればいいの?とわ?おいとわ?」
「やだ。やだ。お母さんやめて…はぁ…っ!!…ぅあ…やだ…」
とわの呼吸がおかしくなる。
息が出来て無さそうだし、なにより胸を掴んでした手がだらんと下に垂れてきた。
目の焦点もあってない。
怖くなった俺は、震える手で、救急車を呼んだ。
数分後、救急車がきて、意識のないとわを乗せた。
「乗る?」とか言われて、気づいたら病院だった。
それから、色々な質問をされた。
「両親は?」「その傷どうしたの?」「救急車呼んだの君?」って…
パニックになっていた俺は、何一つ答えられず、その場に座り込んだ。
「一旦落ち着こうな。弟くんは大丈夫だから」
そう言われたのを最後に、俺の意識は遠のいた…
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