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遥
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起きると、見慣れない天井だった。
どこに連れてこられたのかわからない恐怖で体が震えた。
「そんなに怖がらないで。ここは病院だから」
優しい声に、もっと体が震えた。
他人は怖い。
「家…に帰らせて」
勇気を振り絞って呟けば、「その傷の理由を教えてくれたらね」って…
気づかなかったが、体の至る所に包帯が巻いてあった。
「階段から落ちた」
何度も言っているセリフを言うと、優しい声の男は、
「嘘だろ?本当のことを話しなさい」
って布団に丸まっている俺の体をポンポンと叩きながら言った。
「本当のこと。階段から落ちた。だから帰る」
俺はそれだけ言うと、ベッドから起きた。
先に母親が家に帰ってたら、何されるかわかったものじゃない。
この包帯だって…
巻いてあった包帯を無造作に取ると、
優しかった男の顔は、みるみる怖くなって、「なんでとったの!?」って叫ばれた。
だって怒られるもん。なんて言えず、無言で立ち尽くしていた。
そこに来たのが、母親。
“あぁ、最悪だ”
「なんでこんな所にいるの?」
「わからない。でもこの人が帰してくれなくて…」
俺は「帰るよ」って言った母親に連れられ、
俺らを引き止めた男の人を無視したまま、車に乗り込んだ。
そして一発、
頬に平手打ち。
「お前が駆け込んだんだろ?『助けて』って」
違う。違うのに…
「まぁいい。帰ったらわかってるだろうな…」
本当に最悪。
そういえばとわは?
大丈夫だろうか…
「ねぇとわは?」
「は?あぁ、とっくに家」
そっけなく返されて、会話は終了した。
そしてあっという間に家についてしまった。
あぁ、何が待っているんだろう…
なんて考えるだけ無駄か。
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