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悪夢
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「とわ、起きて」
「…っや…ごめんなさい。ごめんなさい」
悪い夢を見てるみたいだったから起こそうとしたのに、
俺が体にそっと触れただけで、過剰に驚いて謝り始めた。
誰も居ないはずの壁に向かって謝り続けて…
辛そうだった。
あんまり感情的になるのはとわの心臓にとってもよくないんだけども…
「はぁはぁ…っ…ぅあ…」
ああ。やっぱり。
「とわ、薬飲めるか?」
とわは素直に口を開けたが、
眉を寄せ、身体を震わせ、薬に怯えていることは見てとれる。
あのころに戻ったようだ。
「とわ、大丈夫だから。怖くないから」
俺はとわ口に薬と水を流し込んだ。
少しこぼれてしまったけど、薬を飲み込むには十分な量が口に入ったようだ。
とわは、苦しそうに、でも懸命に薬を飲もうとしていた。
ああ、なんかほんとに、か弱い。
でも愛おしい。
「とわ、大丈夫だろ?」
「お兄ちゃん?うん…大丈…夫」
「とわくん、偉かったな。偉い偉い」
そう言って頭を撫でてやると、
とわはこくこくと頷いて、そのまま眠りについた。
可愛い。
すやすやと寝息をたてる君はどんな夢を見ているのだろうか。
俺の夢でもみてほしいものだけど…
「悪い夢なんてもう見るなよ、あいつはもう居ないんだから」
頭を撫でて、ついでに熱も確認する。
あぁ、上がってるよ。
とわが苦しむのは俺のせい。
本当に俺の…
俺が守れなかったから。
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