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遥
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ーとわ
起きたら病院だった。
病院なんて怖い。
いい思い出なんてなくて…
「とわくん、病院なんだけど…最近発作辛いだろ?」
お兄ちゃんが連れてきてくれたの?
お兄ちゃんが心配してくれたの?
嬉しい。
「俺外出るけど、先生がなんか話したいって」
え?
お兄ちゃん僕に構ってくれないの?
「や!!お兄ちゃん…行かないで」
咄嗟に言葉がでていた。
あぁ、迷惑そう。
嫌われるのいや…
「ごめんな、先生が話したいらしいから」
お兄ちゃんは僕の頭をなでて病室を出て行った。
あんまり知らない先生と2人きり。
怖いよ。
なに…されるの?
「とわくん、なんで発作が多いかわかってるよね?」
怖い。
「お兄ちゃんには言わないから先生に話してごらん?」
怖い。
「渡した薬飲んでないでしょ?」
いや。
お兄ちゃんがいい。
「いや…っお兄ちゃん…怖いよ…」
気づけば、腕につけられていた点滴を全て抜いて、
ベッドで丸まっていた。
「お兄ちゃん呼んでくるから落ち着いて、苦しいのいやよね?」
苦しいのいやだけど好き。
お兄ちゃんが心配してくれるから。
お兄ちゃんが構ってくれるから。
「とわ、怖くない。な?」
「うん、お兄ちゃん…ごめん」
お兄ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
あったかい。
優しい。
本当好き。
先生をちらっと見ると、かなりの困り顔だったけど気づいてないふり。
「先生、家に帰る。いいよね?」
「薬あげたし、帰っていいけど…お兄さんに話すよ?いい?」
「うん」
もうどうにでもなれ。
お兄ちゃんに心配してもらえるなら、
構ってくれるなら、
それでいい。
でもみんな僕の本当の苦しみなんてわかんないでしょ?
お母さんに虐げられて、
大好きなお兄ちゃんは僕のことなんて見てくれない。
会ったこともない『弟』にぞっこんで。
お兄ちゃんに構ってもらうには発作おこすしかなかったの。
幸い、食後の薬を飲まなければ発作はおきるし…
発作は辛いよ。
苦しいよ。
でも、1人の方が辛くて苦しいんだ。
お兄ちゃんが離れていく方が
辛くて
苦しくて…
発作の苦しみなんて、
嬉しくて、、
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