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ピアス
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「はる兄、これ。可愛い」
悠くんが指差したのは、宇宙をイメージしたようなピアス。
本人はこれがピアスだとは分かっていないようだが、
俺はピアスならずっとつけてられるし出来ればピアスがいいと思ってたから、ちょうどいい。
「これがいい?」
俺がそう聞けば、悠くんは遠慮がちに「いいの?」なんて、いいに決まってるだろ?
「いいよ。これにしようか」
ピアスと一緒に、ニードルも買って、「後で一緒にあけよう」ってね…
ついでだから「夕ご飯もここで食べていこう」って言うと、悠くんは「兄様はいいの?」って。
「悠くんはとわがいないといやか?」
「ううん。でもいいの?2人で食べてきて」
「いいから。な?食べていく?」
「う…ん」
少し脅迫めいてしまっただろうか。
でも2人で外食なんて、本当、久しぶり。
その後、「美味しかったね」なんて言いながら家に帰り、
耳にピアスをあけた。
俺は悠くんに、悠くんは俺にあけて…
2人で傷をつけあった。
俺は悠くんを傷つけたし、悠くんは俺を傷つけた。
その事実が、何より嬉しかった。
ピアスにしたのは、『ずっとつけてられるから』なんて理由じゃなく、
『2人で傷をつけあえるから』
悠くんにピアスをつけてあげると、
「良いでしょ、このピアス。似合ってる?」
なんて嬉しそうにはしゃいで。
校則なんて忘れていた。
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