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「私を忘れないで」
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目が覚めると泣いていることがある。
大抵は悲しい夢を見たとかそんな理由。
だけど何も覚えていない時がある。そういう時は心にポツンと残された寂しさや悲しみを追いかける。追いかけたところで覚えていないことを思い出せるわけがないんだけど。
思わず追いかけてしまう癖というのは、いつも置いて行かれる側にいるということで。
涙を吸った枕がヒヤリと冷たくて、意味のない不安を煽った。
置いて行かれるというのは寂しいし、悲しい。
あと、怖い。
君がもし俺を置いて行ってしまったら、とか。
もうこっちを見なくなってしまったら、とか。
想像するだけで、芯から冷えていく。
だから君の気持ちに気づいたとき、この恋心がある限り俺は君のなかを占めることができて、置いて行かれることはないと安堵した。
繋ぎとめておくためならなんだってする。
たとえ君がその想いを捨てようとしたとしても、無理にでも飲み込ませて出ていかないように塞いでしまえばいい。
(そんな強引なことしたくないけど)
濡れて冷たくなってしまった枕は、洗濯して乾かしてしまえばいい。
でも冷たくなった心と体は、君次第で温めることも凍らすこともできる。
きっと思い出せない夢の中には君がいる。
瞬きをすると、目の端に残っていた涙が一滴、するりとこぼれた。
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