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「墓参」
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「あなたの願い」の続きみたいな
どうしようもない冷たい風に吹かれると、冬が好きだったあなたのことを思い出す。
息を吸い込めば鼻の奥がツンとして、のどがすっと冷えた。
寒いから暖房をつけようと言っても、寒いのが冬だからねといって、めったにつけませんでした。
まあ、あの大きいお屋敷を暖めるにはそれなりの電力が必要で、なのに古いからすきま風がひどくって。
暖めていくはしから冷えていくあの虚しさを、あなたは知っていたから毛布にくるまっていたんですか。
それでも、二人の人間が同じ部屋で過ごしていれば心なしか暖かく感じた。
そんなことに貴方がいなくなってから気がついた。
吐いた息が白くなるには、まだ暖かい。
白くなる頃に会いに行きます。
それまでもう少し、凍らす涙を溜めていようか。
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