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必死に逃げ回った挙句、辿り着いたのは屋上だった。普段は鍵なんか開いていないが、お昼休憩限定で鍵が開く。
普段はこんなとこ立ち寄ったりもしないけど、緊急事態だ。
バンッと勢いよく扉を開けると、その場にいた数名が一気にこっちを向く。普段なら耐え切れないほどの目の数。
「うっ……」
一瞬たじろいだが、後ろから聞こえてくる声に短い悲鳴をこぼし、どこかに隠れようとする。
幸いにも、梯子を登れば人はいなかったのでそこに身を置くことにした。
すると、また勢いよく扉が開けられた。
「もう逃げられないよ!……あれ?」
が、目当ての人間がいないと分かり、玖村は
「せっかくの食事の時間に騒がしくしてしまって、ごめんね!」
とか言って、すぐに屋上を後にした…と思った。
俺もこんなに人がいるとこは耐えられないので、少し時間をあけて、出て行った。
「捕まえた!」
「ヒィッ」
情けない悲鳴をあげ、また手首を掴まれる。
畜生…待ち伏せしてやがったのか。
「ねえ、なんで逃げるのさ?どうせだから親睦を深めようよ」
「ふざけんな!放せ!!」
「ひどいなぁ。俺にこんなに言い寄られるなんて、むしろご褒美だよ?」
「じゃあ、そのへんのてめーが話しかけただけで喜びそうな、クソビッチでも相手にしてろ!何で俺に突っかかってくんだよ!!」
「いや〜、出来ることなら俺も女の子を相手にしたいよ。けど、しょうがないよね。運命なんだから」
「あ?!」
「運命には従っとくべきじゃない?」
「ざけんな、アルファは全員死ね」
言い慣れた言葉だからか、そこだけ冷静に言い放つ。
「……君、見た目に反して口悪すぎじゃない?そんなんで友達できるの?」
うるせー、てめーには関係ねーだろ!!
未だに放してもらえない手首を、必死に引き抜こうとしながら、心の中で叫んだ。
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