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あの星をもう1度… 13
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まふまふside
僕は授業はずっと窓の外を眺めていた。
そらる先輩の事を考えると集中なんて出来ない。
なら授業もそらる先輩の事も考えなければいい。
そう思った。
窓の外はとても青く、雲一つない。
その中でたまにポツリといる鳥。
たまに仲間と一緒に来たり
1人だったり…
すると小さな鳥が来た。
本当に小さな鳥。
でもひとりだった。
親や仲間もいない。
たったひとり。
僕は窓の外の鳥が飛び立つまで目を離さなかった。
すると突然チャイムが鳴る。
そのチャイムの音で小さな鳥は飛んでいった。
僕は何もしないまま授業を終えた。
するとそらる先輩が突然発した言葉。
そ「小鳥、可愛かった?」
ま「え?…」
そ「俺、メガネかけてても目悪いし見れなかったんだけど…小鳥可愛かった?」
そらる先輩も外見てたんだ…。
ま「はい…可愛かったですよ」
そ「そう…俺もあの小鳥みたいになりたい」
そらる先輩は滅多に見せないあの寂しそうな目をしていた。
ま「…何故ですか?」
僕は聞いた。
するとそらる先輩の顔は柔らかくなる。
そ「だって、決まり事なんて無く生きていける気がするから」
その時思った。
"僕と一緒だ"
決まり事だらけのこの世界。
みんなといるからこそ、決まりがある。
だけどあの鳥はひとり。
ひとりだからこそ、自由。
でもその自由の裏はどうなっているのだろう。
辛い現実が待っているのだろうか。
でもそれを乗り越えてあの鳥は生きている。
そ「ねぇ、なんて呼んでほしい?」
僕が空を見ていると、そらる先輩は聞いてきた。
ま「何でも良いですよ」
そ「それじゃ…"まふ"ね」
僕は"まふまふ"か"まふゆ君"、"まふ君"のどれかだった。
そしてまふ、と呼び捨てされるのはとても斬新だった。
そ「まふ、今はちゃんと授業聞こうな」
そらる先輩は優しく言う。
怒るわけでもなく、冷たいわけでもない。
ただそらる先輩は優しく僕に言った。
ただそれだけなのに…
僕の胸は押しつぶされそうな程、苦しかった。
"その優しさは何?"
"その笑顔は何?"
"貴方の本当の気持ちは?"
もう心の中はいっぱいだった。
だけど…僕は「はい!」と元気よく返事をする。
そらる先輩に気付かれたくないこの気持ち。
知られてはいけないこの気持ちを
僕は胸の奥へとしまった。
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