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あの星をもう1度… 15
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まふまふside
僕は新館校舎へと向かった。
新館校舎はとても静かで
向かいにある体育館で部活をしている生徒の声が少し響いている。
僕は階段を上がり、3階の一番奥の教室。
旧美術室へと向かう。
美術室の扉は開いていた。
僕がその扉から覗くと、
そらる先輩がいた。
そらる先輩は机にもたれかかり、窓の外を眺めている。
白いカーテンがそらる先輩を包み込むようにヒラヒラと舞っている。
その風景はとても美しかった。
ま「そらる先輩…」
僕が呼ぶと、スグにこちらへ振り向く。
すると柔らかく笑う。
その笑顔は太陽の光で輝いている。
僕は机にリュックを起き、そらる先輩の方を向く。
するとそらる先輩は
そ「今日はごめん、描けない」
そらる先輩は右腕の手首をギュッと握る
痛めているのだろうか
ま「…どうしたんですか?」
するとそらる先輩は「ううん」と首を振る
そ「今日は何故か描けない…ごめんね」
そらる先輩は笑っている。
でもその笑顔は作り笑いだと分かった。
僕はそらる先輩の元へ歩く。
するとそらる先輩は「ん?」と首を捻る
僕はそらる先輩の右腕をそっと撫でる。
するとそらる先輩はピクッと反応した。
ま「また…新しい傷…作ったんですか?」
そらる先輩は俯いている。
ま「そんな事したらダメですよ…僕は絵なんて描けないけれど思うんです。」
そらる先輩は少し震えていた。
下を向いているから顔は見れないけれど、
きっと僕に見せたくないのだろう。
ま「楽しい時って、悲しい絵を描けないですよね。辛い時って明るい絵を描けないですよね。絵は自分の表情を表してくれるんですよ。辛かったらその絵は泣いている。楽しかったらその絵は笑顔。僕は笑顔な絵が好きですよ」
そらる先輩は目に涙を浮かべ僕の方を見る。
ま「僕も音楽をやっているんです。辛い時に作曲したっていい歌は書けません。でもいい事があった日は、とってもいい作品が書けます。せっかくならいい作品書いて、みんなに喜んでもらいましょ?それなら自分もまた笑顔になれますよ」
するとそらる先輩は僕に抱きついてきた。
そらる先輩は泣いている。
ま「無理に笑わなくても、今は休憩したらいいんですよ」
そらる先輩の泣き声が校舎に静かに響く。
僕はただ、そらる先輩を静かに見守る事しか出来なかった。
そ「…ごめ…ん」
そらる先輩はそっと僕から離れる
ま「大丈夫ですよ」
僕はヘヘッと笑って見せた。
離れる瞬間、フワッと甘い匂いがした。
この匂いは…電車の時の…
そうか、そらる先輩の匂いだったんだ。
そ「まふって音楽やってるの…?」
そらる先輩は涙を拭きながら僕に問いかける。
ま「はい!って言っても音痴ですし、ギターしか弾けないですし…」
するとそらる先輩は目をぱちくりさせて言う
そ「俺もギター弾けるよ」
驚きだった。
そらる先輩は勉強も出来るし、絵も描けるし、ギターも弾ける。
何でも出来るんじゃないかと思えた。
ま「今度聞かせてください!」
するとそらる先輩はふふっと笑う。
その笑顔はいつもの笑顔だった。
そ「また今度な」
するとそらる先輩は僕に向かって言った
そ「ありがとう」
赤く目を腫らしながらだけれど、
その笑顔はとても綺麗だった。
ま「はい!」
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