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ねぇ、先生 2
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先生は僕が体温計を受け取ると、すぐにいつもの椅子へと座った。僕は渡された白くて固い体温計を指でいじり、軽く遊ぶ。
「ねぇ、先生」
「熱測り終わったのかー」
「…渡されてまだそんなに時間経ってないけど」
追い出そうと必死になっている先生の一言。それにいじけた僕は分かりやすく頬を膨らませて、ソファから身を乗り出して先生のことをジト目で見る。
「いいから体温計で遊んでないでさっさと測れ」
「そんなに僕がいるとダメ?」
「ダメだ」
先生にそう即答され、僕は少し傷つく。それと同時に、絶対居座ってやるという気持ちが強くなった僕は、先生が呆れるくらいまでしつこくしてやろうと思った。
「なんで?」
「具合悪い人が来る所なんだよ、ここは」
「僕、具合悪いって言ってるじゃん」
「具合悪い奴はそんなに元気じゃない」
「元気なフリしてるの」
僕がそう言うと先生は大きな溜息を吐き、椅子から立ち上がると僕の元へやってくる。
流石にもう怒られるかな、そう思った時。
先生が僕のオデコに優しく手を当ててくれた。そして、僕の首元にも手を当てる。
先生の少し冷たい手が首元にきたとき、思わずビクリと身体が震えた。
「普通だな」
「ふ、普通…」
先生が触れたところに心臓が来たんじゃないか、そう思う位に僕の心臓はドキドキとしている。
チラリと、上を向くといつものように無表情の先生が僕のことを見下ろしていた。
「帰らないのか」
「……やだ」
「はあ、この時間にある授業だけだからな」
「居てもいいの?」
「ダメだって言っても、どうせお前は帰らないだろ」
ぐしゃぐしゃと先生は僕の頭を撫でる。そして、用が無くなった体温計を僕の手から取ると、棚に戻した。
居てもいいと許可されて嬉しくなった僕は、コロコロと動く椅子に座ると先生の元へ椅子で移動する。
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