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過去形 2
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長い長い白い道の先に、アイツがいた。
手を伸ばして追いかけるが、追いつけずにその道は途絶える。
そんな嫌な夢を、俺はみた。
「──それじゃあ、…お前ら元気でな」
一年間お世話になった担任の先生が涙ぐみながら、そう言って、長い長い卒業式は終わった。
俺は重い足取りで、いつも通りアイツの元へ行った。
いつもと違うのは、胸に付いてある造花と手に持っている卒業証書。
卒業証書をカバンに入れているソイツの頭を、卒業証書の入っている筒でポコンと叩いた。
「いてっ…。おい、突然なんだよ、間宮」
少し下から見上げてくるソイツを見て、胸がギュウッと痛くなる。
ああ、いつものアイツだ。でも、今日で最後。
目に焼き付けるようにゆっくり見ながら、いつも言う憎まれ口をたたく。
「あ、悪い。立花がチビ過ぎて見えなかった」
「お前なあ!!最後の最後までオレのことをチビだの、…」
最後。嫌でも聞かされるその言葉。
俺はいつも通り怒り始めたソイツを見てニッと笑い、卒業証書を自分の首元に持っていく。
「立花。一緒に帰ろうぜ」
「……あ?別に良いけど」
立花はそう言うと、いつもより遅いわけでも早いわけでもないスピードで、帰る支度をする。
そんな立花を俺はずっと、黙って見ていた。
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