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過去形 10
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ソファーに座り、珈琲を飲みながら、俺は一人で口元を緩めた。
少し甘すぎる珈琲は、俺の身体を暖めるには充分だった。
「──大輝、なに笑ってるんだよ」
後ろから首をどつかれ、俺は痛みを感じながら後ろを振り向いた。
そこには、あれから数年経って外国からやっと戻ってきた俺の好きな人がいる。
俺はニヤリと口元をニヤつかせると、珈琲の入ったカップを机に置いた。
「…瞬との初体験の日のこと思い出してた」
「なっ……!!」
俺が昔、立花と呼んでいたアイツは、俺の言葉に顔を真っ赤にさせる。
それからスグあとに、思い切り頭を殴られ、思わず笑ってしまう。
俺達は呼び方が名字から名前に変わり、背も少し変わった。考え方も大人になった方だと思う。
変わらないのはお互いを想う気持ち、だと思う。
「ほんっとに!大輝はいつもそんな事しか考えていないのか」
顔を未だに赤くしながら、瞬は俺の隣に腰掛け、珈琲をゴクリと飲んだ。
「そりゃあな。俺、男だし。……あの時の瞬は、本当に可愛かったなあ。…『オレにお前を刻みつけろ』って泣きながら頼み込んできっ…いでっ」
「本当に黙れっ!」
珈琲を軽く吹き出したあと、瞬はカップを机に置いて俺の脚を蹴ってきた。
「ははは、瞬は本当に面白いな」
「バ、バカにするのもいい加減にっ」
瞬の可愛さも変わっていないな、瞬にと蹴られながらそう思う俺は、きっと瞬を溺愛してる気がする。
「別にバカにしてねぇよ」
「嘘つけ!」
「ついてないって」
瞬の疑り深い目で見られ、俺は苦笑いを零す。
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